| ■殺人事件 ■通販盗難 ■交通事故 ■パソコンの紛失 |
| 殺人事件 |
| ある年の一月の末、空っ風が吹く寒い日だった。僕はいつものように午前中必着の荷物を配り終ってその他の時間帯指定のない荷物を配っていた頃だった。すでに12時をまわっていたと思う。何やらパトカーのサイレンが迫ってくるではないか?「また交通違反者でも追いかけているな。」とその時は思ってあまり気にもせず、仕事に専念することにした。そうそう、念のためシートベルトをしてパトカーのおまわりさんと遭遇しても注意を受けないように配達していた。しばらくするとさっきとは違う方向からサイレンが聞こえてくる。救急車のサイレンも聞こえる。「もしかして何か事件でもあったのか?」と思った。でも早く仕事を終わらせて昼飯を食いたいという気持ちが先行して最後の1件を配達して営業所へ急いだ。 営業所に戻るとパートの亀田(仮名)さんが青ざめた表情で僕に近寄ってきた。 「ねえねえ、本町の岸田時計店(仮名)で殺人事件があったんだって。店の留守番をしていたおばあちゃんが殺されたそうよ。」 僕は亀田さんの話を聞いてビックリした。やっぱりあのサイレンがそうだったんだ。あのころ本町の荷物を配り終え、栄町に行く途中だった。「留守番のおばあちゃん.....。」岸田時計店は何回か配達に行ったことがあった。いつもおばあちゃんが店番していたっけ。たしか息子さんと二人暮しだったはず。岸田時計店は店構えは古くてちょっと見たら「この店繁盛しているのかなぁ?」とクビをかしげるくらいの店だった。しかし、この店はアンティークのロレックスやオメガといったブランドの時計を扱っていた。結構遠い所から商品を求めにやってくるお客さんもいた。もしかして強盗殺人だったのかもしれないと思った。 午後便の荷物を積み込んで本町付近まで来た時、数人の刑事さんが聞き込みをしていた。僕も行く先々で車を止められ「事件を目撃しなかったか?」「不審者はいなかったか?」とか聞かれた。配達中は荷物を無事に届けることしか考えていないし、まさか殺人事件が起きるなんて思ってもいない。どう思い出しても「何も見ていません」「知りません」と答えることしかできなかった。岸田時計店の周りは完全に通行止めになっていて、ブルーシートで中が見えないようになっていた。遠くからではあったが、テレビのニュースなどで良く見る光景だった。僕は岸田時計店に向かってしばらく手を合わせていた。 後日、新聞に犯人逮捕の報道記事が載っていた。まだ20代の若い女性だった。地元で解体業を営む社長夫人だった。盗んだロレックスを質屋に持ち込んで換金しようとして、足がついたらしい。犯行の動機は夫が生活費を入れなかった為、生活費が欲しくての犯行だったみたいだ。社長夫人だったら生活も楽だと思うけど、傍から見ているだけではわからない。結局その女性に無期懲役の判決が下った。 ▲TOP |
| 通販盗難 |
| 配達の途中で営業所から電話が入った。 「午前便が終わったら至急営業所に戻るように」 という事だった。『もしかしてドライバー全員に昼食の用意がしてあるのか?』なんて期待してはいけない。営業所から電話が入る時はロクなことはない。急いで営業所に戻ってみるとすでに殆どのドライバーが戻っていた。 「おいおい、また誰か不在放置でもしたのか?それとも誤配?」 「いやいや、そんな事ぐらいじゃ、ドライバー全員呼び戻さないよ。」 「お客さんとケンカしたんじゃない?」 などといろいろドライバー同士で話していた。 いよいよ所長が現れドライバー全員の前で「忙しいところ集まってもらって申し訳ない。実は佐藤(仮名)さんのところで通販の荷物が紛失して、それが近くの山のなかで発見された。中身はもちろんなかった。いったいどういうことか?実は前にも同じお客さんの荷物がなくなった。全くの偶然か?それともある人が故意にやったことか?私は故意にやったこととしか考えられない。みんなの中で心当たりのある人は私に直接申し出なさい。すでに警察にも届けているし、私も指紋をとられました。みなさんにも指紋の採取をお願いする事になるかと思うが、その時は協力していただきたい。私はみなさんの中に犯人がいると思う。いや絶対にそうだ。いるに違いない。」と顔を真っ赤にして言った。僕は所長が言った言葉を疑った。なんでドライバーの中に犯人がいるというのか?自分の部下がそんなに信じられないのか?あの所長の言葉は今でも忘れる事ができない一言だった。その後埼玉支店の品質管理課長と個人面談。佐藤さんのエリアについていろいろ聞かれたが、なにしろ僕らのエリアの仕分け場の場所も違うし、配達エリアは全く方向が違うのでわからない、知らないと答えるしかなかった。パソコン内のデータを見ても佐藤ドライバーが積み込んだ形跡はない。ここの営業所に到着したことになっていた。やはり誰かが持ち出したのに違いない。それがドライバーなのか?事務員なのか?それとも第三者が侵入して持ち出したのか?不思議な事件だった。その後所長からは事件の進展情報などは報告されないまま、所長も次々と変わり、闇の中となってしまった。 ▲TOP |
| 交通事故 |
| ある夏の夕方、交通事故を目撃してしまった。僕が細い路地から大通りに出ようとしたとき、右を見たら、歩道を歩いていたお年寄りの女性が銀行から出てきた乗用車にぶつかって、よろよろと倒れてしまった。そしたらその車、お年寄りが倒れたのが気づかなかったらしく、そのままひいてしまった。そこでまわりにいた人が、 「何やっているんだ!!止まれ!!」 と制止させたが、気が動転してたのかわからないけど、今度はそのままバックして、またまたひいてしまった。信号待ちしていた高校生からは、 「キャーッ、やめて!!」 と悲鳴も発せられ、その光景はまるで地獄のようだった。ここの銀行、交通量の多い交差点の角地にあり、駐車場から右折するのには、かなり勇気がいる。ここの銀行の駐車場はいつも混んでいて、駐車場に入るのも相当苦労する。警備員はいなく、駐車場整理のオジさんが一人いるだけ。専門の教育をうけた警備員などいない。市内でも一番大きい銀行だし、大手都市銀行なのに何故?いつもそう思っていた。市内の百貨店、スーパーの駐車場には数人の警備員を配置しているのに、何故だ。 あのお年寄り、きっと即死だったかもしれない。スピードは出ていなくても何百キロもある鉄のかたまりに二度もひかれては誰だって即死だろう。事故を目撃しちゃった僕は、そのあと車を運転するのが怖くなってきた。繁忙期とか、時間帯に追われ焦ってしまうこともあるかもしれないが、もう一度初心に返って、安全運転を心がけたいとあらためて考えさせられた一日だった。 ▲TOP |
| パソコンの紛失 |
| ある朝、出勤すると仕分け場に保管してあった本日配達指定のパソコンが無くなっていた。あるドライバーが配達するはずだったが、どこ探してもみつからない。本体とディスプレーの2個口。昨日夜間配達から戻ってきたときは、確かにあったはず....。あんな大きい物、いったい誰が盗むのだろう。盗まれたとしたら、堂々たる犯行だ。先日も各営業所で、盗難事件が多発しているので注意して欲しいと言っていたのに...。 昔、家電の販売をやっていた頃、よくビデオカメラ、ビデオデッキが盗まれた。店頭に陳列してあるものを鎖を切って盗まれたことがあった。今人気があるのはパソコン。家電店へ行っても賑わっているのが、パソコン売場。時代は変わってきている。でも犯罪を犯してまで欲しいものなんだろうか?捕まったときのことを考えないのだろうか?去年、僕の配達地域で時計店に強盗が入り、店番していたおばあさんが殺され、ロレックスが盗まれた。犯人は僕と同じ街に住む女性だった。この女性、ロレックスを質屋に持ち込んだところで、逮捕された。なんでもお金が欲しかったとか?PCも製造番号がついている。何処かの質屋、中古販売店などに持ち込めば、すぐにでもバレてしまうと思うのだが。しかし、最近流行っているオークションなどに出品すれば、中古屋さんなどに持ち込むよりは高く売れるし、足もつかないかもしれない。お金に換金するための犯行か?それともただパソコンが欲しかっただけなのか?いずれにせよ、悪い事には違いない。 営業所でも到着した荷物の紛失を防ぐ為、仕分け場に防犯カメラを取りつけたり、貴重品ロッカーの設置、パソコン置き場の設置等いろいろ対策を施してきた。また、ドライバーにも配達途中で、車から離れる時は必ず施錠するようにという注意があった。これは忙しいと忘れがちなのだが、盗まれてからでは遅い。配達途中で盗まれたとなるとドライバーの責任になる。もし、車ごと盗まれてしまったら膨大な損害賠償となるので注意しなければならない。それでも日本全国では年に数件車ごとの盗難が発生しているらしい。不景気な時代だからこそ余計に注意しなければならない。嫌な世の中になっちまったね。 ▲TOP |