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生物進化学とは
過去の生物から現在の生物まで生命体はいかなる方法で変化してきたのか。そして、今後の生物界にどのような生物が現れるのかを考える学問。はるか太古(アリストテレスの時代)から進化学は考えられてきたが、未だに解き難い問題として扱われているものの一つだ。進化学の歴史を簡単に振り返ると、ラマルクの動物哲学に始まり、ダーウィンの進化論、メンデルの遺伝法則、ド・フリースの突然変異進化というようにマクロな視点からミクロな視点へと移り変わっていった。近代ではハーディ、ワインベルグらによって遺伝子維持の規則性が導き出され、さらにワトソン、クリックらによってDNAレベルでの生物進化が考えられるようになった。他にも発生学や形態学から生物進化を解こう試みるものもいるが、現在ではDNAレベルでの分子進化学とダーウィンの進化論、そして突然変異による進化説が最も有力である。
一つ興味深い理論がある。それは断続進化説と呼ばれており、ある生態的地位(niche)を占めている生物が何らかの要因で絶滅すると、同じような系統ではあるが別のnicheを占める生物がこの空いたnicheを埋めようとし、これによって生物の入れ替わり(進化)が成り立つのではないかという考えだ。この考えは実に理にかなっていると私は思うのだが、これだけでは進化の機構は解明できない。新しい生物の誕生方法や絶滅要因といった様々な問題と絡み合ってくるのだ。
解明に必要な学問
まず、分子進化という分野で考えるのなら生物学、中でも遺伝学や分子生物学といったDNAの分野を学ぶ必要がある。さらにミクロな世界で考えたいのなら(私の場合、とことんミクロ化したい!!)、遺伝物質に使われているタンパク質や酵素といった化学物質の変化機構を考えなければならない。さらに、化学物質が関与しているからにはもちろん反応が生じるのだが、生物が死なない限り安定していられるのは何らかの平衡関係が成り立っているはずである。それは化学平衡で証明できるかもしれないし、全く別の平衡関係が成り立っているのかもしれない。平衡が生じるためにはやはり、エネルギー上のやりとりが行われているはずである。ここで熱力学を考える必要性に迫られるのだ。もしくは素粒子の動きを見なければ……というように、あらゆる分野が出てくる。一般的に生物好きは生物の分野を離れるとあまり積極的に考えたがらないようにも思えるが、多分やを生物学者が考えることは新たな発見にもつながりやすいと私は感じる。
形態的特長から進化を考えるのなら、動物学、植物学はもちろん、太古の生物も含めたければ古生物学が必要だ。また、生物の発生上の変化を観察するために発生学なども重要になってくる。様々な生物を分類し、系統を考える系統学の分野からでも研究は行える。また、生物を比較するというところから、行動学、環境学、細胞学といった分野からでもよい。また、生物の進化に伴って地球自体も変化しているという考えから、地学分野、古生態学、古環境学を考える場合もある。
3つ目に、最近話題になっているような、そうでないような数学的解釈から解明するという手法がある。古生物学の章でも書いたが、やはり学問を数式化することはある意味で”完成”といえる、究極的な証明だと考える。現在、微積分や線型代数、統計、確立などの分野から数理的に生物の行動が統一化できることが示されている。その中には絶滅のプロセスや自然淘汰のプロセスといった進化に関連する事項も示されてはいるが、上でも書いたように、これだけでは進化の完全な解明とは言えないのだ。
現代の最も有力な進化説
進化には大きく分けて2種類存在する。例えば、蝶が多様化したように、特徴的に少ししか変化していない小進化と、魚→両生類というように大きな変化を遂げた大進化がある。小進化に関して言えば、まず突然変異によって新たな種が生まれる。次にこの変異種が本来の種に対して隔離(生殖的又は地理的)をうけると遺伝子の存在頻度が偏り、最終的には本来の種と変異種の2団体が生じたことになる。このまま2種とも生き延びればよいのだが、同じような種は競争という生き残るための手段が出てくる。競走に負けたものは絶滅し、この時空いたnicheを埋めるべく、一方の種のみが生き残る。この種が変異種の団体であれば、進化が成立したことになる。大進化に関してはまだナゾにつつまれたままである。
最大の問題点!!
この説の大きな問題点は「突然変異の生じる頻度」である。現在存在する種に到達するまでにどれくらいの確立で、どの程度の突然変異が生じれば成り立つのか。長い年月経っていれば起こる確立の少ない突然変異も確かにたくさん生じそうだが、その割合と遺伝子・塩基対の変化した数は計算上合うのだろうか?もし、合わないのだとしたら別の要因が生物の遺伝子に影響したのかもしれない。または、ある条件がそろうと突然変異の確立が急上昇するのかもしれない。このあたりの議論が現在大っぴらになされていないため、研究する価値があると思う。
今後の私的考察
上にも示したように、まず突然変異の確率論が定まっていない。それゆえ、突然変異の生じる率と生物の遺伝子の変化速度を計測するところから考えたい。さらに、X線等のように突然変異の確立がたまるものが存在することから、自然界においてどのような状況であれば変異が誘発するのかも調べる必要がある。また、一般に環境変異と呼ばれるものは遺伝しないと考えられており、確かにそうではあるのだが、もし何らかの要因で環境変異が遺伝子に影響をもたらし、遺伝していくという可能性についても調べる必要がある。
進化というのは莫大なスケール(特に時間)をもって行われる現象だ。そんなことから、物理的な数式でもって長時間スケールでの進化を短時間スケールでの進化に変換し、このもとで突然変異や生物間競争、絶滅を考え、最後にまた長時間スケールへ戻してあげれば大進化についても示せるのではないかと考えている。
進化について学べる大学
京都大学・理学部・生物科学科……分子進化、霊長類、人類に力を入れている。21世紀COEプログラムで多様性を扱っている。
東京大学・理学部・生物科学科……分子進化、多様性、細胞進化、集団進化など。扱っている生物は海産系が多い。
東北大学・理学部・生物学科……多様性進化学が学べる。
参考書
生き物の進化ゲーム(酒井聡)……確立の分野から見た進化の考察。生物の生き残るための戦略が数式化され、まさにゲーム理論。(高校〜学部向け)
哺乳類の進化(遠藤秀紀)……哺乳類に限ってはいるが、内容は詳しい。他にも爬虫類、両生類バージョンもある。(学部向け)
動物進化形態学(倉谷滋)……生物進化について一般的に書かれている。形態学からの考察が中心。(高校〜学部向け)
古生物の科学4(速水格 他)……古生物の進化、絶滅に関して最新の理論が書かれている。変異の速度理論も述べられており、一度は見ておくと良い。(学部〜院生向け)
Evolutionary Biology Third edition(D.J.Futuyma)……生物進化に関する究極的洋書。(院生向け)
地球生物学−地球と生命の進化−(池谷仙之 北里洋)……古生物入門書。地学一般に関しても学べ、内容も易しく、わかりやすい。(高校〜学部向け)